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浦メシ屋奇談

音楽のこと(特にSwing Jazz)、ミステリーのこと、映画のこと、艶っぽいこと、落語のこと等々どちらかというと古いことが多く、とりあえずその辺で一杯やりながら底を入れようか(飯を喰う)というように好事家がそれとなく寄合う処。“浦メ シ屋~っ!”

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衝撃のコンサート。

昨年末からいろいろなことを見聞きして、改めて考え込んでしまった。

一番驚いたのは、2010年も押しつまった12月29日に銀座博品館劇場で聴いて観た、「AMI triangulo & The WILL <狂詩曲>rhapsody」である。
これはドラマーの堀越 彰が主宰する「The WILL」(ピアノ深町 純、ヴァイオリン渡辺剛)に、フラメンコ・ダンサーのAMIのグループが加わった公演である。
普通この手のジョイント公演と言うと、メインのグループの演奏の合間にゲストが演奏し、最後に一緒に演奏するという構成が多いのだが、これはまったく違う。
その演奏はもちろん、構成・演出が、つまり全ステージそのものが一つの作品になっているのである。
全演奏の約1時間半休憩なしで、曲目紹介などのMCも一切なし。一気に引き込まれ、あっという間に終わった。

ある意味フラメンコとジャズのフュージョンである。が、フュージョンというと8ビートのあれか、と思われそうだが、そんないわゆるフュージョンなどではない本当の意味でのクロスオーバー、フュージョンと言えよう。
構成・演出(堀越 彰)も素晴らしかったが、その前に出演したミュージシャンのレベルが高かった。
実は「The WILL」のメンバーのピアノの深町 純は公演直前(11月22日)に急逝されこの日は江草啓太が代わりを勤めていたが、彼も含め全員素晴らしい演奏であり、踊りだった。
それにメンバー全員のこのステージ(音楽)を創る情熱を感じ、集中力と緊張感をひしひしと感じた。
こんなコンサートは始めての体験だった。衝撃だった。
狂詩曲 rhapsody

クラリネットの鈴木直樹と一緒に聴きに行ったのだが、帰りはしばし無言。そして━
「素晴らしかった!いろいろと考えさせられるね‥」
我々も積極的にあれこれ挑戦しながら勉強しなくてはいけないね━という話に行き着いた。

ドラマーの堀越 彰には私は2005年の愛知万博でのコンサートに付き合っていただいて以来、大体の活動は知ってはいたがちゃんと演奏会を聴いたのは初めてである。
この「The WILL」以外にも、2000年に自ら結成した「東方異聞 A Strange Story from The Far East」。さらに異色の民謡歌手の伊藤多喜雄グループのメンバーの一員であることなど、我々はジャズのドラマーとして参加していただいているが、実際の活動はさらに広く、奥深く計り知れない魅力がある。

私はいわゆるフュージョンとか、いわゆるアバンギャルドというのは好きではない。
堀越 彰の世界はややもすると、その“いわゆる”で括られそうだが、そんな通り一遍なことではとやかく言えない何かがある。
それにまだまだそっちまでは程遠い我々の、穏健保守派の琴線にまでも触れる面白さがある。
その面白さが何であるか、俄然興味が湧いてきた。

最近、音楽の良し悪しが分からないと言うか、いいなと思えるような感覚がシャープに反応しなくなってきた。と思いつつ怠惰な気分を持て余していたところへの、今回のコンサートである。冷水を浴びせられたような感がある。
自分の中の音楽に対する考え方などにどう結びつくかは分からないが、永年ただただ好きで好きで仕方がなかっただけの音楽について、何かを考えるきっかけになりそうだ。

いやあ、音楽が、ジャズが好きで良かった!と改めて思わされ、さらに追い求め楽しんでみたいという意欲をかき立てさせられたコンサートだった。

ところで1月31日(月)は西荻窪「ミントンハウス」で、今年初の私プロデュースによるライブを行う。
出演は、昨年このblogを始めた1番目に書いた「いちご大福な、デュオ」で紹介した、クラリネットの鈴木直樹とバンジョーの青木 研である。
1年振りに、あの絶妙なデュオを聴いてみたくなった。

※敬称を略させていただいています。
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| ジャズ雑感 | 09:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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