浦メシ屋奇談

音楽のこと(特にSwing Jazz)、ミステリーのこと、映画のこと、艶っぽいこと、落語のこと等々どちらかというと古いことが多く、とりあえずその辺で一杯やりながら底を入れようか(飯を喰う)というように好事家がそれとなく寄合う処。“浦メ シ屋~っ!”

2010年02月 | ARCHIVE-SELECT | 2010年04月

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フェイクする、密かな楽しみ。

ジャズの面白さの一つに「フェイク」(fake)がある。ジャズでいう「フェイク」というのはメロディーをほんの少し崩すことで、もともとのメロディーがシャレっぽくかっこよくなる。
フェイクもアドリブ(即興演奏)の範疇らしいが、このほんの少しというところがミソで、メロディーラインが分からないほどに崩してしまっては、それはもう完全なアドリブになってしまう。
音の高く張るところを少しずらしてみたり、伸ばすところを小刻みに抑揚を付けたり、装飾音を入れて印象付けたり‥かといってやり過ぎると元々のメロディーのよさを無くしてしまうは、クサくなるはで聴いていられなくなる。
上手いプレイヤーはメロディーのよさを生かして存分に聴かせておいて、サラッとフェイクする。これがまた憎らしくいい。
このフェイクはジャズだけのことではない(らしい)。演歌やポップスでも長いこと歌っている、ヒットのある歌い手は、昔の歌い方と少し変えて歌っているのを聴くことがある。この間も尾崎紀世彦が往年のヒット曲「また逢う日まで」(1971年)を歌うのをTVで観た。1箇所昔と違う歌い方、フェイクしていた。
Fakelogo
「fake」を辞書で引くと、「でっち上げる」「見てくれをよくする」とか、「ふりをする」などが出てくる。オリジナルのメロディー(作曲家)からすればまさに誤魔化しのでっちあげであるが、プレイヤーそれぞれかっこよく演奏しているのである。聴いている我々にとっても事実調子もよくノッてくる。
長いことジャズを楽しんでいて、あのフェイクのノリを自分でも楽しめないものだろうか、とふと思ったりしたものだ。もちろん楽器を操るわけでもなく、歌をなぐさむわけでもない。もともとジャズ同様落語が好きだから、言葉を使ってフェイク遊びをしようかとあれこれと頭を巡らせてみた。

●板さん、刺激物を止められているんで済まないが
そのトロ、サビ抜きで握ってくれないか!
○おいおい!お前それでも江戸っ子かぁ!?サビ抜きの鮨なんぞよく食えるなぁ!
おう!板さん、オレにはシャリ抜きでサビ握ってくれ!
●えっ!?おい、止しなよ!身体によくないよ!
○何言ってやんでぇ!おっ!できたか、ありがてぇ!
‥‥お!うっ!はぁ~っ!う~んっ!ゴクッ!あぁ~、いやぁ~っ、はぁ~旨かった!
幾らだい?えっ?安いねぇ!!マジかい!?
△へぇ~、シャレ抜きでぇ!

そんな時、鮨屋でサビ抜きの鮨を頼んでる人を見て、こんな小噺を思いついた。
当時広告制作の仕事をしていて、担当していたお鮨屋さん関係の団体のラジオCMに全5本揃えて、昨年亡くなった5代目三遊亭円楽(2009/10/29没)に演ってもらったことを想い出す。ずい分前の話である。
話を元に戻すと━そう、言葉でのフェイク遊びとは、こんなシャレた小噺を創って楽しむこととみた。そして暇を見つけてはあれこれと捻り回して、創り続けた。良し悪しはともかく、その数100は下らないだろう。しかしこうしてみると、半分以上がジャズに関わる小噺である。
かつての名プレイヤーや名作曲家のこと。名曲のこと。さらに演奏のことなど、無い事無い事(?)を本当にありそうなエピソード小噺に仕上げた。
もちろん現存する日本人プレイヤーも登場する。知り合いのプレイヤーと話していてネタになりそうなことはメモッておき、後で噺に仕立てる。大好きなジャズを弄り回して‥こんな面白いことはない。いずれまとめようと思っている。名づけて「Jazzy Fake Tales」。「ジャズ冗句集」とでも言おうか━
実は当ブログの中の「エストレリータに会いたい‥」も、それぞれのプレイヤーが演奏するエストレリータとは一体どんな女性かを、微に入り細に入り追いかけてみたくなり、フェイクしたものである。本当はプレイヤーとその演奏の細密な観察を元に、もっと詳しく興味深く書きたかったのだが長くなり過ぎそうなことと、その前にちょっと力不足のためにそこまでには至らなかったのである。いずれ徹底的に書いてみたいと思っている。

ある時ベニー・グッドマンが、街角のカフェで他のメンバーを待ちながらピアノのテディ・ウィルソンとコーヒーを飲んでいると、10歳位の大人しそうな男の子を連れた品のいい女性がすっと近づいてきて━
「あのー、グッドマンさん!すみませんが、この子に “Memories Of You” を5ドル分だけ聴かせてやってくれませんか!」
「5ドル分とはまた中途半端ですが、どうしてですか?」とグッドマンが聞くと、
「実はこの子は12歳にもなるのに、女の子にまったく興味を示さないんですのよ!
そこで恋を教えてやりたいと思うんですが、完璧な恋を教えるには少々早すぎるような気がするものですから、ほんの触りだけ━
でも触りだけとはいえ、やはり素敵な恋でなくっちゃ!ねぇ!・・・」
B.G.切手

ボーカルのマリア・エヴァがクラリネットの鈴木直樹&Swing Aceをバックに、ライブで歌っていた。ステージの合間に客に一杯ご馳走になり、その客のリクエストで「Tennessee Waltz」を歌った。
ワンコーラス目が終わったところでギターの蓮見芳男が悪戯心で、ワルツを突然フォービートに変えてしまった。
それまで目を閉じ酔いしれながら歌っていたエヴァがキッと目を見開き、指を鳴らしながら歌い出し、スキャットを混ぜながら見事に歌い切った。
大喝采の後、マリア・エヴァは客のテーブルの上のヘネシー・ウイスキーを横目で見ながら、
「テネシー・ワルツが少し酔っ払ってヘネシー・ワルツに、そしてさらに心地良くヘネシー・ブルースに━。
歌もお酒も、いいモノはどうやってもいい気分に酔えますね。」

と、こんなFake Talesはいかがだろう。
こんなことを年中考えていると、暇をもてあますことなどまずない。何かネタになるようなことはないか、あちこちをそれとなく注意深く見詰めまわし、何か面白そうなきっかけを見つけると、こんどはどう料理しようかと思案する。
ライブやコンサートに行っても、CDのライナーノーツを読んでも、楽器を抱えて電車に乗ってるミュージシャンを見ても…何か面白くならないかとどうしても物事を斜に眺めてしまう。そういった意味からも、ジャズには曲ばかりでなくさまざまな側面があって興味が尽きない。
そうして捻り出した作品(?)を時々引っ張り出して、グッドマンやジャック・ティーガーデン、あるいはジョージ・ルイスを聴きながら、一人ほくそえむのである。まあ、マスターベーションとでも言おうか‥
ただ面白いのは、そういう注意力を注ぎながら物事を観たり聴いたりしていると、意外なことに気が付いたり、新たな深い想いに入ったりして、益々楽しくなる。私にとってはジャズは音我苦(?)、気になり楽しく苦になって仕方がない。
そんな密かな楽しみの成果を、これから折を見ては少しづつここへ出してようと思う。(敬称略)
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| Jazzy Fake Tales | 10:41 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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