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浦メシ屋奇談

音楽のこと(特にSwing Jazz)、ミステリーのこと、映画のこと、艶っぽいこと、落語のこと等々どちらかというと古いことが多く、とりあえずその辺で一杯やりながら底を入れようか(飯を喰う)というように好事家がそれとなく寄合う処。“浦メ シ屋~っ!”

2011年05月 | ARCHIVE-SELECT | 2011年07月

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渋谷でSwingin'! さながらサロン・ジャズ。

オープニングで、いきなり「鈴懸の径」が、クラリネットが、ヴァイブラホーンが聴こえた時は、鳥肌が立った。
音楽が好きで良かった、といささか眼がしらが熱くなった。

6月24日(金)。渋谷ハチ公前から7~8分の、シダックスビレッジの1F「東京メインダイニング」で、鈴木直樹 & Swing Aceの『Swingin’ ~見上げてごらん夜の星を~in 渋谷』ライブが行われた。

大きなウインドウで通りに面し、夜の渋谷を行き交う人々が覗き込める大きな空間に、シャレたステージ‥ちょっとサテライト・スタジオのような、ジャズには珍しい空間である。
そこでゆったりと「鈴懸の径」を聴く。これは私にとって、ほぼ究極のシーンだと言える。
鈴木直樹 & Swing Ace at Tokyo Main Dinning

しかもそのクラリネットはよもや鈴木章治と言うわけにはいかないだけに、その甥である次代のスイング界を担う鈴木直樹、つまり私にとってこのシーンでは、この人でなければなければならないクラリネットであるだけに、ほぼ、そう98%は究極のシーンが実現できたと言えよう。

ライブの出来栄えも最高だった。
かつてこんなにお客さんとステージが穏やかに溶け合い、楽しいライブがあっただろうか。
というのは、今回東日本大震災の被災地へのチャリティも兼ねてのライブだけに、あまりジャズに親しみを持っているわけでもなく、ましてや鈴木直樹 & Swing Aceを初めて聴くお客さんも多かっただけに、曲目・構成にも気を使った。
それだけにお客さんから好評をいただいて、我が意を得たりとホッとすると同時に、よしよしとばかりに一人ニンマリとしていた。
さながらサロンで楽しむジャズという雰囲気だった。
※チャリティについては、末尾にご報告を記載している。

しかしここまで来るともはやプレイヤーの腕にかかっているわけで任せるよりしようがないのだが、そのライブの持って行き方を考えたメンバー選びが面白い。
今回はまたそのメンバーが良かったと、自画自賛もしている。

メンバーはクラリネット(カーブド・ソプラノサックス)鈴木直樹、バンジョー青木 研、ヴァイブラホーン宅間善之、ベースジャンボ小野
前前々回の『Swingin’ ライブ』でも書いたが、通常バンジョーとヴァイブラホーンを合わせるなんてことはない、が━
今回はどうしてもバンジョーの青木 研を、さらにヴァイブラホーンの宅間善之(彼は私がどうしても聴いてみたかった)を聴いてほしかったために強引に合わせてしまった。
結果、思わぬ効果が出て、面白い演奏が聴けた。
それはリーダーの鈴木直樹の持って行き方と、特に青木 研のこの状況への即し方がうまかったといえるだろう。
それにしても宅間善之のヴァイブも10年ほど前と違って一段も二段も素晴らしくなっていた。もっと、もっと聴きたいものだ。

曲構成は━
1set
1 . 鈴懸の径
2 . The World Is Waiting For The Sunrise(世界は日の出を待っている)
3 . Stardust(スターダスト)
4 . Bei Mir Bist Du Shen(素敵なあなた)
5 . 与作
6 . Song Of Vagabond(蒲田行進曲)
7 . Morning Breeze(モーニング・ブリーズ)
8 . Sing, Sing, Sing
2set
1 . 見上げてごらん夜の星を
2 . Avalon(アヴァロン、プッチーニ作曲「トスカ」“星は光りぬ”より)
3 . Amazing Grace(アメイジング・グレイス)
4 . 東京音頭
5 . Moonglow(ムーングロウ)
6 . Petite Fleur(小さな花)
7 . After You’ve Gone(君去りし後)
8 . When You Wish Upon A Star(星に願いを)
9 . When The Saints Go Marchin’ In(聖者の行進)

「世界は日の出を待っている」は世界の名手バンジョー青木 研の、お馴染みとはいえ目の覚めるような演奏は何回聴いても素晴らしい。
「スターダスト」と「ムーングロウ」は、宅間善之のヴァイブをたっぷり。なかなかなものである。
「アメイジング・グレイス」は鈴木直樹が一人、カーブド・ソプラノサックスで東日本大震災で被災された方々、犠牲になられた方々への、こういう表現はないだろうが献杯ならぬ献曲である。
その時の鈴木直樹のコメントが良かった。
「僕は普段、ライブでは震災についてのコメントをあまりしないんですが…でも今日はそのテーマのもとのライブですから…僕は言葉ではなく音楽で(気持ちを)表します。」
いい演奏だった。目頭を押さえていらっしゃる方もいらっしゃった。

また「与作」や、特に「東京音頭」は鈴木直樹が、名手青木 研を得て大きく広げてきている世界である。
それにしても、この前の号にも書いたが津軽三味線ならぬ津軽バンジョー(?)は見事なものだ。ほとほと感心してしまう。
彼については今までにも書いてきたが、まだまだ書きたいことは山ほどあるが、またの機会に、さらに次の機会にと小出しにすることにしよう。

上手い、個性的なプレイヤーが揃えばある意味まとめるのが難しくなる。
そんな皆をバックでしっかりと支えてくれているのが、ベースのジャンボ小野。後ろに聖母マリア像を掘り込んだ名器ガスパロ・ダサーロを抱え、皆をフォローすると同時に、自らも渋いソロを聴かせていた。
こういうしっかりとしたリズムの要があってからこその、バンドであり、良い演奏なのである。

今回お客さんにも好評を得て、大変良いライブになったのはもちろん演奏が秀逸だったことだが、会場の「東京メインダイニング」の環境が良かったことも見逃せない。
音はもう一つだったが、そのロケーションと店内の広さといい、空気感は非常に良かった。
いろいろと協力してくださった支配人の田村さんには感謝したい。
今、定期的に演奏することを考えている。


最後に、ご来場いただいたお客さんからのチャリティの金額をご報告しておきたい。
・ご来場者 全52名 ・ミュージック・チャージ\3,500/人のうち\500をチャリティに。
\500×52名=\26,000-
この金額を、東日本大震災の被災地のために活かしていただくべく、日本赤十字社へ送金したことをご報告しておく━
皆さんのご協力に心からお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
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