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浦メシ屋奇談

音楽のこと(特にSwing Jazz)、ミステリーのこと、映画のこと、艶っぽいこと、落語のこと等々どちらかというと古いことが多く、とりあえずその辺で一杯やりながら底を入れようか(飯を喰う)というように好事家がそれとなく寄合う処。“浦メ シ屋~っ!”

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名曲の行方

先日、急に暑さが治まったお彼岸の東北地方を旅した。
その時、ホテルで前々から気になっていたことを改めて想い出した。そしてやはり何となく気になったので、考えてみることにした。

ロビーでソファに身を沈めながら、大きなガラス越しに池の鯉をぼんやり眺めていた。
突然、美しいストリングスが聴こえてきた。そう、突然。それまでも当然BGMは鳴っていたのだが、聴こえていないのに等しかった。
紺碧の空の上から切り立つ断崖を横目に真青な海の中へ、さらに再び上空へ━とうねるように透き通ったストリングスの合奏が漂ってきたのに、エルキュール・ポアロの灰色の脳細胞ならぬ、私の空色の耳(?)が反応したのである。

「魅惑の宵」、ミュージカル「南太平洋」の中の名曲である。
なんて美しい曲なんだろう。どうしてあんなメロディーが、曲が書けるんだろう、と映画「南太平洋」を初めて観て聴いた高校時代に思ったものである。
ミッチー・ゲイナーやロッサノ・ブラッツィ(「旅情」もよかったが)とともに、そしてあの空や海とともに想い出す。
ホテルでのBGMの次の曲も、やはり「南太平洋」からの名曲「バリハイ」だった。
ここでふと思ったのである。このままこのBGMを聴きながら、しばらくこのロビーでのんびり過ごすのも悪くないな、と━腰を据えて、一人でBGM鑑賞会とシャレ込んだ(?)。
海

「ファッシネーション」(映画「昼下がりの情事」)、「80日間世界一周」、「風とともに去りぬ」、「エデンの東」、「夏の日の恋」、「ムーン・リバー」‥
ものの30分も経たないうちに、いろいろな物語を次から次へと走馬灯のように垣間見ながら、その物語のあった時の自分の状況を懐かしみ楽しみながら、今この東北の温泉宿で余白のような時間を持てあぞぶ自分を不思議がりながら、あゝいいもんだ!と悦に入っているのである。

映画音楽がつづいている中に、「道」のテーマが入っていなかったのが良かったような、残念なような妙な気持ちに後でなった。
「道」のテーマを聴けばジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)のことを、ザンパノ(アンソニー・クイン)のことを想い出して、またまたいろいろ様々なことを考え込んでしまうだろうから‥(フェデリコ・フェリーニ監督の「道」で、いろいろと考えさせられた方は多いことだろう。)
それにしてもこの「道」のテーマも、いい曲だなぁ。(音楽 ニーナ・ロータ)

クラシック・バージョンもあった。
ショパンの幻想即興曲の三部形式のBの部分だけをムード音楽としてアレンジしたもの。やはりショパンの夜想曲をアレンジした「トゥ・ラブ・アゲイン」。(もっともこれは映画「愛情物語」のテーマだから映画音楽編かな)
それに「ホフマンの舟歌」、シューマンの「トロイメライ」、さらにトセルリの「嘆きのセレナーデ」‥

次にジャズというか、ポップスというかのジャンルでこの手の演奏で流れてきたのが━
「木の葉の子守唄」、「テンダリー」、「わが心のサンフランシスコ」、「イエスタデイズ」(ビートルズの「Yesterday」ではなく、ジェローム・カーンの書いた「Yesterdays」)、「ハーバーライト」、「星降るアラバマ」、「飾りのついた四輪馬車」‥

実に楽しいぼんやりタイムになった。BGMを楽しむのもホントに悪くない。
しかしこうして流れてきた曲目を眺めてみると、どのジャンルも皆古い曲ばかりで最近の曲など一つも無い。そういう曲ばかりをプログラムしたんだと言われればそれまでだが、だとすればこういうホテルなどでのBGMは古い曲しか使わないということになる。
冒頭で前々から気になっていたというのは、ずい分前からホテルや店舗内、あるいは商店街などでのBGMは、4~50年前くらい前に私が親しんでいた曲ばかりで、それ以後にヒットした曲などというのは聴いたことが無い、ということである。(私が気が付かないのかも知れないが━)

BGMとは何か?というより、あの頃の曲に、音楽には何があるのか?などと考えてみるのも面白いかもしれない。
そういえば、今ふと気が付いたが、最近のライブやコンサートでもほとんど演奏されなくなった、聴かれなくなった曲というのがあるような気がする。
さっきあげた「テンダリー」だの「木の葉の子守唄」などは、昔はしょっちゅう聴こえていたような気がするが、最近ではあまり聴かれないのは私の気のせいだろうか。
そういえば「Sugar」も最近聴いたことが無い。
こんどそんな曲をリストアップしてみて、そんなことをつらつらと考えてみようかと思う。最近聴かれなくなった曲、忘れられていた曲ばかりを聴かせるライブがあってもいいかもしれない。
鈴木直樹トリオ

そういえば、10月5日(火)、東京西荻窪のライブハウス「ミントンハウス」で久し振りに私プロデュースのライブをやる。
メンバーは━
クラリネット 鈴木直樹
ピアノ 山本 琢
ベース 小林真人
私の大好きなメンバーである。トラッドな、スイングのお好きな方は是非お出かけください。
ミントンハウス

| スイング・ジャズ | 16:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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