春は、カントリー & ディキシーに乗って‥
もう11年にもなる。3月のこの時期、カントリー & ディキシーコンサートを聴き始めてから━
いや正確に言うと、あの偉大なるカントリー・ミュージシャンのジミー時田が亡くなって(2000年3月10日、享年63才)、その翌年から親しくしていたクラリネットの花岡詠二(本人は追っかけだったと言う)が『花岡詠二プレゼンツ ジミー時田メモリアル「カントリー & ディキシーコンサート」』と銘打って、やはりジミー時田が大変気に入っていたと言うカントリー・ミュージシャン ヘンリー矢板を中心に、ジミー時田の祥月の3月に毎年行っているコンサートを聴き始めてから。
そう、だからジミー時田が亡くなってから、もう11年にもなるのである。早いものだ。

このコンサートは実に楽しい。面白い。勉強になる。
取り立ててカントリーが好きだったわけではないが、11年にわたってこのコンサートに顔を出しているうちに、いろいろなことを知った。
アメリカ移民の歴史と共にカントリーの起こりからその変遷。ブルーグラスのこと、そしてジャズとの接点。さらにロックンロールのことなど‥
ほぼ花岡詠二ワンマンショー的ではあるが、それはそれでいい。カントリーやジャズに限らず音楽はこうやって楽しむといいよ、とばかりに音楽への接し方楽しみ方を教えてくれている。
花岡詠二本人も言っている。いつまでもだらだらやっていて‥もうすぐ終わりますから‥これはこのコンサートに限らず、彼の口ぐせでいつのコンサートも確かに長い、がこれは彼がプロでありながら、いい演奏をすればいいと言うことだけでは済ませられない音楽を面白がっている、コンサートを面白がっていることの現われだと思う。
そんな彼の音楽の、ジャズの面白がり方が、我々ファンにジャズの楽しみ方をさらに広く深くしてくれるのだと思う。
曲数も多いが曲間の話も長い。が、どこにでも出ているような通り一遍の話ではなく、ミュージシャンとしての眼から、あるいは感覚からの話は興味深い。
かなりのファンといえども、曲を、演奏を外から聴いたり観たりするより手がないわけだから、そんな花岡詠二の話は面白い。
いいメンバーでいい演奏が数多く聴けて、そんな話が聞かれるのなら、コンサートは長くなっても仕方がない。と言うより、大歓迎である。(ただあまりに長いと尻が痛くなって座っていられなくなるのが辛い。)
吹いても、しゃべっても止まらない、好きで好きでしょうがないオッサン、なのである。できることなら見習いたい、そうなりたいものである。
話をコンサートの中味に戻す。
このコンサートのオープニングは毎回、ジミー時田が好きだったと言う誰もが良く知る「星の夜」。賛美歌の「What A Friend We Have In Jesus」である。
いつもは1コーラス目はスローで、2コーラス目からアップ・テムポになるのだが、今年は1コーラスだけで、サビからアップテムポにして終わらせてしまったのは残念。
個人的にはこの曲の何とも言えない感慨が、このコンサートを象徴しているように思えるので、私は残念至極だった。

そしてヘンリー矢板の登場。ハンク・ウイリアムズの「You Win Again」と「Pan American」。
11年前に初めて彼の歌を聞いたときには驚いた。前述のようにカントリーにはまったく詳しくないとは言え、こんな風に歌える歌手が日本人にいるとは知らなかった。
カントリー独特の鼻に篭らせ響かせる歌い方と、どことなく土の臭いのするファルセット。一辺で好きになってしまった。
一部は花岡詠二ディキシーランブラーズの演奏と、そこへヘンリー矢板の歌が加わると言う構成。
ディキシーランブラーズの演奏はメンバーの顔ぶれをみても悪かろうはずがない。そしてヘンリー矢板の歌である。できればお好きな方は是非聴いてみて欲しい。
あの11年前、ほとんどが初めて聴いた曲にも関わらず、何だか懐かしさえ覚えた。
そうだ、2年ほど前のこのコンサートを収録したCD(Tribute to JIMIE TOKITA 『MISSISSIPPI DELTA BLUES』)があるはずだ。ヘンリー矢板のHPで確かめてみるといい。サンプルも聴けるはずである。
この日の一部で面白かったのは、花岡詠二がテナーを持っての「Battle Of New Orleans」。これは確かズーッと昔にグラミー賞をとった曲で何となく覚えているが、花岡詠二のはしゃいだテナーがなかなか良かった。こういうところが、音楽を面白がっているところだろう。
第二部は、突然「森はじめと昔少年団」なる3人組のフォークグループが登場。
もちろんプログラムには無く、花岡詠二のお付き合いの中からのユニークなミュージシャン(というか芸人?)が登場し、4曲演奏した。これがまた滅茶苦茶面白い。機会があったらもう少し聴いてみたい。
この辺も前述の面白いところの一つである。以前などは、ジミー時田と親交のあった噺家の立川談志が突然登場し、小噺をやって帰るなど、花岡詠二の面白がりの姿勢がハプニングになって現れたと言ってもいいだろう。
その後、ヘンリー矢板が常に一緒に活動しているファー・イースト・ウエスターナーズの演奏と、さらにディキシーランブラーズとの合同演奏である。ここではギターを抱えた花岡詠二も観られる。
フィドル(ヴァイオリン)とスチールギターが加わるファー・イースト・ウエストターナーズの紹介も、いずれ改めてしたいと思う。


最後はお馴染みの「Jambalaya」、「Mississippi Delta Blues」とつづいて、「I Saw The Light」で幕を閉めた。
午後3時から2時間40分。大きく背伸びをして、弱い春の黄昏の中に浮かぶ東宮御所の木々を眺めながら、赤坂見附の駅までをブラブラそぞろ歩き帰るのも、このコンサートの楽しみの一つである。
私にとって本格的な春は、この「ジミー時田メモリアル」から始まる。来年は3月10日だそうだ。
※敬称は略させていただいています。
出演メンバー
ヘンリー矢板(vo)
●F.E.ウエスターナーズ
大江俊幸(st.gui)
北農秀則(gui)
高野秀臣(fidd)
小宮山 隆(b)
●花岡詠二ディキシーランブラーズ
花岡詠二(cl, sax & pf)
下間 哲(tp)
苅込博之(tb)
佐久間 和(gui)
青木 研(banj)
加藤 人(b)
楠堂浩己(dr
●森はじめと昔少年団
いや正確に言うと、あの偉大なるカントリー・ミュージシャンのジミー時田が亡くなって(2000年3月10日、享年63才)、その翌年から親しくしていたクラリネットの花岡詠二(本人は追っかけだったと言う)が『花岡詠二プレゼンツ ジミー時田メモリアル「カントリー & ディキシーコンサート」』と銘打って、やはりジミー時田が大変気に入っていたと言うカントリー・ミュージシャン ヘンリー矢板を中心に、ジミー時田の祥月の3月に毎年行っているコンサートを聴き始めてから。
そう、だからジミー時田が亡くなってから、もう11年にもなるのである。早いものだ。

このコンサートは実に楽しい。面白い。勉強になる。
取り立ててカントリーが好きだったわけではないが、11年にわたってこのコンサートに顔を出しているうちに、いろいろなことを知った。
アメリカ移民の歴史と共にカントリーの起こりからその変遷。ブルーグラスのこと、そしてジャズとの接点。さらにロックンロールのことなど‥
ほぼ花岡詠二ワンマンショー的ではあるが、それはそれでいい。カントリーやジャズに限らず音楽はこうやって楽しむといいよ、とばかりに音楽への接し方楽しみ方を教えてくれている。
花岡詠二本人も言っている。いつまでもだらだらやっていて‥もうすぐ終わりますから‥これはこのコンサートに限らず、彼の口ぐせでいつのコンサートも確かに長い、がこれは彼がプロでありながら、いい演奏をすればいいと言うことだけでは済ませられない音楽を面白がっている、コンサートを面白がっていることの現われだと思う。
そんな彼の音楽の、ジャズの面白がり方が、我々ファンにジャズの楽しみ方をさらに広く深くしてくれるのだと思う。
曲数も多いが曲間の話も長い。が、どこにでも出ているような通り一遍の話ではなく、ミュージシャンとしての眼から、あるいは感覚からの話は興味深い。
かなりのファンといえども、曲を、演奏を外から聴いたり観たりするより手がないわけだから、そんな花岡詠二の話は面白い。
いいメンバーでいい演奏が数多く聴けて、そんな話が聞かれるのなら、コンサートは長くなっても仕方がない。と言うより、大歓迎である。(ただあまりに長いと尻が痛くなって座っていられなくなるのが辛い。)
吹いても、しゃべっても止まらない、好きで好きでしょうがないオッサン、なのである。できることなら見習いたい、そうなりたいものである。
話をコンサートの中味に戻す。
このコンサートのオープニングは毎回、ジミー時田が好きだったと言う誰もが良く知る「星の夜」。賛美歌の「What A Friend We Have In Jesus」である。
いつもは1コーラス目はスローで、2コーラス目からアップ・テムポになるのだが、今年は1コーラスだけで、サビからアップテムポにして終わらせてしまったのは残念。
個人的にはこの曲の何とも言えない感慨が、このコンサートを象徴しているように思えるので、私は残念至極だった。

そしてヘンリー矢板の登場。ハンク・ウイリアムズの「You Win Again」と「Pan American」。
11年前に初めて彼の歌を聞いたときには驚いた。前述のようにカントリーにはまったく詳しくないとは言え、こんな風に歌える歌手が日本人にいるとは知らなかった。
カントリー独特の鼻に篭らせ響かせる歌い方と、どことなく土の臭いのするファルセット。一辺で好きになってしまった。
一部は花岡詠二ディキシーランブラーズの演奏と、そこへヘンリー矢板の歌が加わると言う構成。
ディキシーランブラーズの演奏はメンバーの顔ぶれをみても悪かろうはずがない。そしてヘンリー矢板の歌である。できればお好きな方は是非聴いてみて欲しい。
あの11年前、ほとんどが初めて聴いた曲にも関わらず、何だか懐かしさえ覚えた。
そうだ、2年ほど前のこのコンサートを収録したCD(Tribute to JIMIE TOKITA 『MISSISSIPPI DELTA BLUES』)があるはずだ。ヘンリー矢板のHPで確かめてみるといい。サンプルも聴けるはずである。
この日の一部で面白かったのは、花岡詠二がテナーを持っての「Battle Of New Orleans」。これは確かズーッと昔にグラミー賞をとった曲で何となく覚えているが、花岡詠二のはしゃいだテナーがなかなか良かった。こういうところが、音楽を面白がっているところだろう。
第二部は、突然「森はじめと昔少年団」なる3人組のフォークグループが登場。
もちろんプログラムには無く、花岡詠二のお付き合いの中からのユニークなミュージシャン(というか芸人?)が登場し、4曲演奏した。これがまた滅茶苦茶面白い。機会があったらもう少し聴いてみたい。
この辺も前述の面白いところの一つである。以前などは、ジミー時田と親交のあった噺家の立川談志が突然登場し、小噺をやって帰るなど、花岡詠二の面白がりの姿勢がハプニングになって現れたと言ってもいいだろう。
その後、ヘンリー矢板が常に一緒に活動しているファー・イースト・ウエスターナーズの演奏と、さらにディキシーランブラーズとの合同演奏である。ここではギターを抱えた花岡詠二も観られる。
フィドル(ヴァイオリン)とスチールギターが加わるファー・イースト・ウエストターナーズの紹介も、いずれ改めてしたいと思う。


最後はお馴染みの「Jambalaya」、「Mississippi Delta Blues」とつづいて、「I Saw The Light」で幕を閉めた。
午後3時から2時間40分。大きく背伸びをして、弱い春の黄昏の中に浮かぶ東宮御所の木々を眺めながら、赤坂見附の駅までをブラブラそぞろ歩き帰るのも、このコンサートの楽しみの一つである。
私にとって本格的な春は、この「ジミー時田メモリアル」から始まる。来年は3月10日だそうだ。
※敬称は略させていただいています。
出演メンバー
ヘンリー矢板(vo)
●F.E.ウエスターナーズ
大江俊幸(st.gui)
北農秀則(gui)
高野秀臣(fidd)
小宮山 隆(b)
●花岡詠二ディキシーランブラーズ
花岡詠二(cl, sax & pf)
下間 哲(tp)
苅込博之(tb)
佐久間 和(gui)
青木 研(banj)
加藤 人(b)
楠堂浩己(dr
●森はじめと昔少年団
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