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浦メシ屋奇談

音楽のこと(特にSwing Jazz)、ミステリーのこと、映画のこと、艶っぽいこと、落語のこと等々どちらかというと古いことが多く、とりあえずその辺で一杯やりながら底を入れようか(飯を喰う)というように好事家がそれとなく寄合う処。“浦メ シ屋~っ!”

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小さな花、み~つけた!

永年、折を見ては「小さな花」を探していた。それを1ヶ月ほど前に、偶然見つけた。

「小さな花」というのはご存知のようにシドニー・べシェ作曲の「Petite Fleur」のことで、探していたと言うのは1959年に日本でヒットした時の、ボブ・クロスビーとボブ・キャッツ+ピーナッツ・ハッコーによる演奏を聴きたかったのだ。

このボブ・クロスビー(ビング・クロスビーの弟)とボブ・キャッツ+ピーナッツ・ハッコーの「Petite Fleur」は、鈴木章治とリズムエース+ピーナッツ・ハッコーの「鈴懸の径」(1957年)同様、私がスイングに目覚め夢中になっていく、きっかけになった曲の一つである。(「かくも遠き、鈴懸の径」)

本気で執念をもって探せばそんなに苦労することなく見つけて聴くことはできただろうに。ましてや昨今のネット時代である。検索すれば幾らでも情報は手に入る。
その通りで、10月のある日他の情報探しをしていたところ、あるブログの概要書きの中にボブ・キャッツとピーナッツ・ハッコー、それに「小さな花」の単語を見つけて、早速そのブログ「わさび田のパパゲーノ」を訪ねてみた。
あった。鈴木章治とリズムエース+ピーナッツ・ハッコーの「鈴懸の径」2枚とボブ・キャッツ+ピーナッツ・ハッコーの「小さな花」のYouTubeリンクが貼り付けてあった。

早速クリックしてみると‥これこれ、この演奏だ!恋焦がれた「小さな花」がそこに咲いていた。
意外と臭い演奏でちょっとびっくりした。やはり時代と言うか、あれから50年も経ち、その間いろいろな人の「小さな花」を、洗練された演奏を聴いてきていたから頭の中がそうなっていたのか、結構泥臭く感じた。
が、紛れもなくあの少年の日、ドキドキしながら繰返し聴いた「小さな花」だった。

「小さな花」と言えば、同時に想い出すのはやはりザ・ピーナッツのデビュー曲「可愛い花」(1959年4月)である。
故宮川 泰の編曲で、元の「小さな花」に並ぶ名曲だろう。またこの時のバックでの演奏が渡辺 晋とシックス・ジョーズであり、裏面の曲が「ザ・ピーナッツ・ベンダー」(南京豆売り)だった。今思えば役者がみんな揃っていたようだ。
私が聴いたのは、と言うより日本で発売されたのはボブ・キャッツ+ピーナッツ・ハッコーの「小さな花」が先なのか、ザ・ピーナッツの「可愛い花」が先なのかは定かではないが‥私の記憶ではザ・ピーナッツの「可愛い花」を初めて聴いた時、あっ!あの曲だ!と思った記憶があるから、多分「小さな花」の方が先だろう。
と言うことは、作曲者のシドニー・べシェがこの曲をレコーディングして売り出したのが1959年6月(フランス)だそうだから、ボブ・キャッツ+ピーナッツ・ハッコーの「小さな花」もザ・ピーナッツの「可愛い花」も、日本ではそれより早くヒットしたことになる。
もう一つ、この「小さな花」はイギリスのトラッドなクリス・バーバー(トロンボーン)バンドの演奏でも知られているが(クラリネット モンティ・サンシャイン)、それもほぼ同時期に出ており、この半年ぐらいの間に世界中でずい分と「小さな花」が咲いたことになる。
ちなみにシドニー・べシェがこの曲を書いたのは1952年で、1950年に2度目にフランスへ渡った時、若いフランス女性と結婚しその女性のために書いた曲だという。
Sidney Bechet

この稿を書くにあたって改めてボブ・キャッツ+ピーナッツ・ハッコーの「小さな花」を聴こうと思いYouTubeへアクセスすると、著作権侵害にあたるとかで削除されていた。
残念である。が、実はこの「小さな花」のきっかけを作ってくれた前述のブログ「わさび田のパパゲーノ」氏は、偶然だが私の郷里に住む方だった。
で、この「わさび田のパパゲーノ」氏はアナログ専門オーディオ・レコード店を営み、モーツアルトの大ファンという。
が、モーツアルトに限らず’50年代から’60年代のポップス、歌謡曲、演歌、ジャズに詳しく、そのブログからYouTubeに繋げて、当時の音楽を中心に世情を踏まえて時代を彷彿とさせ、大いに楽しませてくれる。
当時青春時代真っ盛りだった私には、また当時の興味深い諸々も単に記憶の中に留めるにしか能が無い私には、大変有難く貴重なブログである。
その後「わさび田のパパゲーノ」氏に連絡をとらせていただき、探し続けた「小さな花」(ボブ・クロスビーとボブ・キャッツ+ピーナッツ・ハッコー)も、アメリカDOT原盤で聴かせて頂けるという。
帰省した折には必ずお尋ねしたいと思っている。
興味のある方は、「わさび田のパパゲーノ」を訪れてみるといい。

クラリネットの花岡詠二は私と世代も同じせいか同じような思いで、またクラリネットを手にするきっかけになった曲ともおっしゃっており、レコーディングもされており、ライブでもよく聴かせてくれる。
鈴木直樹は若いからそんな思いはないだろうが、手ごろな名曲とでもいうのだろうか、ライブでは良く演奏する。時々、カーブド・ソプラノ・サックスでも聴かせてくれるが、これがまた何とも言えずいい。
ただ鈴木直樹の「小さな花」では、ある時から一箇所繰返しをはしょってメロディーを変えて演奏するが、あそこはオリジナル通りにやった方がよいように思うがいかがだろう。(お聴きになったことのない方には何のことやら分からないだろうが、悪しからず━)
いかにもグッドマンらしい「小さな花」、あるいはトランペットのバック・クレイトンの「小さな花」など、さまざまな「小さな花」を愛でるのは楽しいものだ。

もっともっといろいろな「小さな花」に会いたいものである。
※敬称を略させていただいています。

| スイング・ジャズ | 11:23 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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New Swingin' Energy

音楽は生きている。スイングは動いている‥
いささかオーバーだが、一昨夜(11月26日)ふとそんな思いがしたのと同時にうれしくなった。

クラリネットの鈴木直樹に頼まれて、赤坂の「B♭」での「鈴木直樹 & Swing Ace」(ビッグ・バンド)のライブの撮影に出かけた。
鈴木直樹は昨年も同じ「B♭」でビッグ・バンドのライブをやっているが、今回も昨年のライブとメンバーはほぼ同じ。1年の変化を確かめるのを楽しみに、カメラマンを連れて出かけた。

この「鈴木直樹 & Swing Ace」(ビッグ・バンド)の特徴は、ブラスとサックス・セクションをミュージカルなどのオーケストラで活躍している、若手のミュージシャンで固めているということ。
つまりいわゆるジャズのプレイヤーではなく、劇場などでさまざまなドラマに参加しているミュージシャンなのである。
何が違うかと言うと━昨年、この編成を起こす前に鈴木直樹からその意図を聞くと━
ジャズのミュージシャンはどうしてもバリバリ音を出して音楽を駆動していくところがある。が、ミュージカルなどのピットに入っているミュージシャンは、やはりアンサンブルの美しさやメリハリなどドラマチックさに神経を使って演奏している。ジャズとはいえ音楽だから、やはりそうありたい━鈴木直樹も度々劇場でのピットに入り仕事をしているうちに、自分のやりたい音楽を、それにともなうメンバーをと考えたらしい。

そこでその編成の立ち上げのライブ(B♭)を昨年聞いたのだが、確かに違う。
そう、アンサンブルがとてもいい。とくにサック・スセクションの美しさは、もともスイート系のファンだった私は、ああ、こんなサウンドが聴きたかった!とその時思ったものだ。
とくにその感想をはっきりと再確認したのは、そのライブの後、中野のゼロホールでの同じ編成での「鈴懸の径=Old Good Concert vol.6」を聴いたときである。
ピアノ(秋満義孝)、ベース(根市タカオ)、ドラムス(近藤和紀)は変わっていたが他はライブ時と同じメンバー。その時、鈴木直樹(as)が加わったサックス・セクションと上記の3人にギターの佐久間和が加わり、シャンペン・ミュージックを何曲かやった。
まさに御大秋満義孝の世界である。この時のうねるようなサックスのアンサンブルは素晴らしかった。
鈴木直樹 & Swing Ace

今回のライブはその時を越えていた、と言っても過言ではないだろう。
アンサンブルも良かった。それにそれぞれの曲のてテンポも、曲によっては多少上げたりして、また普段聴きなれているグレン・ミラーものや、グッドマンの「Sing, Sing, Sing」なども、少し新しいアレンジを加えたりして、大いに若さを感じた。勢いを楽しんだ。スイングの新しい風に浸った。

個人的にはグッドマンの「Estrellita」は良かった。(これはグッドマンのまま)
以前にも書いたが(「エストレリータに会いたい」3月11日)、私が「Estrellita」を好きなことを知っているだけにうれしかった。しかもビッグ・バンドでの演奏など、そう聴けるものではない。
その以前に書いた時には、鈴木直樹の演奏する「Estrellita」は溌剌としたまだ女学生だ、と書いた。あれから大して経ってはいないが、今回の彼女は確実に二十歳(ハタチ)は越え大人の女性になっていた。
が、今回の演奏を聴いて、もっともっと彼の中で素敵な女性になっていく「Estrellita」を聴きながら、今後も見続けていきたいと楽しみに思ったものだ。

それに珍しく、スイング版クラリネット協奏曲とも言うべきグッドマンの「Clarinade」など、レコード以外で聴いたことがない曲をやった。
本来はもっと早い曲だが‥こういう曲をもっと聴きたい。鈴木直樹ならではの曲だと思う。次回を楽しみにしたい。

またお馴染みの「鈴懸の径」は鈴木直樹の、ラテン・アレンジのビッグ・バンドバージョンで、アレンジもなかなかで軽快、楽しめた。
そういう意味では、クラシックからのブラームスの「Hungarian Dance」のスイング・バージョンなど趣向を凝らしたプログラムであり、演奏もよかった。
こういう試みをもっとしてほしい。若いバンドだけに、こんな挑戦を大いにして楽しませて欲しいと願う。
願わくばリハーサルにもう少し時間をかけ、一糸乱れぬ快演を望みたい。
寺泉 憲

今回のライブは特別ゲストに、映画やテレビドラマでお馴染みの俳優の寺泉 憲をヴォーカルに迎えてのものだった。
さすがにベテラン俳優だけにファンも多く、ほぼ満員。その中で、ビッグ・バンドのバックで歌うのははじめてだそうだが、あれだけに良く知るスタンダードものを歌えるのはやはり大したものである。

ビッグ・バンドでの鈴木直樹のこれからが大いに楽しみだ。
当日のプログラムと、メンバーは━
1set
1 .Don’t Be That Way
2 .Stealin’ Apple
3 .Memories Of You
4 .Mission To Moscow
5 .Moonlight Serenade
6 .Love (vo)
7 .Medley (vo)
8 .As Time Goes By (vo)
9 .On The Street Where You Live (vo)
10.Tie A Yellow Ribbon (vo)
11.In The Mood
2set
1 .Platanus Avenue(鈴懸の径)
2 .Little Brown Jug
3 .Hungarian Dance
4 .Clarinade
5 .闘牛士のマンボ
6 .Fly Me To The Moon (vo)
7 .Everybody Loves Somebody (vo)
8 .Just In Time (vo)
9 .Smile (vo)
10.My Way (vo)
11.Sing, Sing, Sing
(Ench.) What A Wonderful World

(クラリネット)鈴木直樹
(トランペット)浦田雄揮、砂川隆丈、城谷雄策、高沢 綾
(トロンボーン)筒井弘之、佐々木匡史、シシウチヒデミ
(サキソフォン)石島大介、菅生昌樹、吉本章紘、竹村直哉
(ピアノ)川畑 淳、(ギター)佐久間 和、(ベース)ジャンボ小野、(ドラムス)堀越 彰、
(ゲスト・ヴォーカル)寺泉 憲

※12月2日(木)、クラリネット(カーブド・ソプラノ)鈴木直樹、ストライド・ピアノの山本 琢、スラッピング・ベースの小林真人によるトリオのライブを、西荻窪「ミントンハウス」行います。スイングの極みをどうぞ。

| スイング・ジャズ | 21:41 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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こうありたい…スイングの楽しみ…

何年か前に一度行ったきり、度々声をかけてもらっていたが、なかなか行けないでいたのを、クラリネット(アルトサックス)の鈴木孝二さんのライブに先日やっと行ってきた。

西武新宿線の沼袋の「Organ Jazz倶楽部」。こんなところにこんなライブハウスが!と自店のHPにも書いてあったがまさにそんな思いがする、ハモンドオルガンとグランドピアノが眼をひく小粋なライブハウスである。
この近くにお住まいの孝二さん(普段こう呼ばせてもらっているので)のホームグラウンドとでもいうのだろう、お客さんも含めて嵌っていていい感じのライブだった。
Organ Jazz 倶楽部

オープニングは「You And The Night And The Music」。
ほう!と言う感嘆とともに、なるほど!という思いがしてこのライブが楽しみになってきた。
というのは私は15年ほど前、孝二さんが「原 信夫とシャープス & フラッツ」時代に「鈴木正男& SWING TIMES」で親しくさせていただき、その後シャープを辞められて『鈴木孝二カルテット+1 Wonder Jazzland=デューク・エリントン生誕100周年記念コンサート』(1999年 銀座ヤマハホール)を行った時にプロデュースさせていただいた。
翌年にもう一度、銀座ヤマハホールでの『Wonder Jazzlandコンサート』のお手伝いをさせていただいたのだが、その2回のお手伝いで私は、孝二さんは幅の広いプレイヤーだな、と思った。
シャープやSWING TIMESのビッグバンドでは、スイング系の側面しか見ていなかったせいか、私は勝手にトラッドなスイング系のプレイヤーだと思っていたらしい。
シャープを辞めた後、「戸山喜雄とデキシーセインツ」に加わり、デキシーランド・ジャズのクラリネットを始めたことも、そう思わせた要因かもしれない。
(余談だがあの1999年のコンサートの時、亡くなられたシャープの大ベテランのトランペットの福島(照之)さんがいた。懐かしい限りだ。)

いきなり「You And The Night And The Music」を聴いて、ほう!と思ったのはその幅の広いプレイヤーであることを忘れていて驚いたのであり、なるほど!と思ったのはそのことをすぐに想い出して納得したのである。
言ってみればモダン・スイングとでも言うのだろうか‥いや、ただそう単純に言い切ってしまえない、トラッドの滋味のようなものを感ずるのだが‥

今年はアーティ・ショウの生誕100周年ということで「Frenesi」と「Indian Love Call」を、そして2セット目にバディ・デフランコのレパートリーから「Carioca」と「Cairo」を━。
さらにグッドマンの「Memories Of You」、「Airmail Special」と、ある意味ベテランの鷹揚さとでもいうのだろうか、バラエティに富んでいて楽しめた。
そう、先ほどトラッドの滋味のようなもの、と言ったが、毎年ニューオーリンズを訪れディキシーに浸る土の匂いがそこはかと滲んでくるのかも知れない。
その音に、フレーズにどこか懐かしさを覚える。
鈴木孝二カルテット+さがゆき

ニューオーリンズと言えば、この日のヴォーカルのゲストが、ニューオーリンズへ一度も行ったことがないから来年是非一緒に、と訴えていたさがゆきさん。
盛んに孝二さんやメンバーとニューオーリンズ談義をした上で唄った、「Do You Know What It Means To Miss New Orleans?」は良かった。
曲の内容とともに彼女のニューオーリンズに焦がれる気持ちが一つになった、まさに心に沁み入る演奏だった。

私は前述の、孝二さんの2回目の2000年コンサートの時に、ゲスト・ヴォーカルのさがゆきさんに会った。以後、何回か私が組んだライブにも付き合っていただいた。
彼女はジャズも含めて単にシンガーという枠に収まらない音楽家である。
「上を向いて歩こう」「黒い花びら」「黄昏のビギン」などの作曲やジャズ・ピアニストとしてお馴染みの故中村八大とともに活動したり、北村英治、花岡詠二、富樫雅彦などのミュージシャンと活動し、ジャズ界に限らずクラシックやポップス、オペラ、舞踊ジャンルにまでその世界を広げる、まさに音楽家である。
そんな実績やさらなる探究心から歌いだされる歌は、引き込まれる。いつだったか、デューク・エリントンを特集して歌ったのを聴いたが、これも良かった。
こういう小粋なライブハウスで、酸いも甘いも噛み分けたメンバー(後述)と気楽にスタンダードものを歌うさがゆきさんはまたいい。
他に「Manhattan」、「Corcovado」、「I Wish Love」etc.

そう言えば孝二さんは3~4年前に大病をした。その半年も経たないうちに、もうライブをしていた。それも楽しそうに━
この辺のベテランが気ままに好きな曲を楽しげに演奏してくれるのを聴くのは、我々ファンにとっては一番うれしいことだ。
日本に限らず世界のたくさんのミュージシャンと共演され、またさまざまな経験から得られた豊かな音楽性を、我々には知る由もない音楽の世界の楽しさを少しづつ教えてくれるようで実に楽しい。
ラストは、アルトでのエリントンの「Echoes Of Harlem」。エリントンが大好きだそうだ。

当日のメンバーは━
鈴木孝二 (cl、as)
飯沼五洋 (pf)
古里純一 (b)
マイク・レズニコフ (ds)
さがゆき (vo)

| スイング・ジャズ | 11:41 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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クラシック・ジャズ

最近、街おこしと言うか活性化と言うか、街ぐるみのイベントとしてジャズを使うのがやたらと多い。
あまり関心がないから殆ど行かないのだが、10月31日(日)「VINTAGE JAZZ十間橋」(主催:ジャズ十間橋実行委員会)には知り合いが何人も出演し、しかも小さな商店街でこじんまりしており、さらに「1920~’40年代の“ヴィンテージ”ジャズ」というフレーズにひかれて行ってみた。

墨田区十間橋通り商店街は、今話題の東京スカイツリー(2012年春開業予定)の麓の街。下町の隅の、まさに田舎の街と同じである。
そのしもた屋風蕎麦屋で、カレー屋で‥ジャズの生演奏が響く。粋がったところだの、カッコよいところなどまったくなく、ただクラリネットが、ギターが、ピアノが、ベースが‥それもタイトルどおりクラシック・ジャズが聴こえてくるのである。
もしかしたら、よくある○○ジャズ・ストリートなどのイベントの中で、一番よいのではないかと思った。

全4箇所ある海上のうち、私は3箇所顔を出してみた。
最初に蕎麦屋での「大橋高志(pf)with後藤雅広(cla)」のグループ。それからカレー屋での「クラシック・ジャズトリオ」(清水万紀夫cla、阿部 寛gui、小林真人bass)。次にホールでの「古川奈都子ホンキートンクキャッツ」(古川奈都子pf、青木 研bj、渡邊恭一ts,cla、井桁賢一tuba)。
いずれも味わい深く楽しかったが、ここでは「クラシック・トリオ」に注目して取り上げてみたい。

クラリネットの清水万紀夫もベースの小林真人も、それぞれ別々にだが仕事もお願いしているし良く知っている。ギターの阿部 寛はアコースティックのギターの名手として名前は知っていたが、プレイは初めて聴く。
このトリオの演奏を立て続けに聴いて驚いた。
Oh, Lady Be Good!
Blues My Naughty Sweetie Gives To Me
Sentimental Journey etc.
これはいいや!昔憧れていたがいつの間にか居なくなってしまって、永い事想い続けていたがいつの間にか面影もおぼつかなくなりそうになっていた時、いきなりその憧れの女性が眼の前に現れたかのようなドキドキする感覚を覚えた。
そう、古いナンバーをやるからそうだ、ということでもない。

清水万紀夫のクラリネットが素朴な音をしていた。阿部 寛の角のとれたコードソロが、そして小林真人の柔らかいベースと時にアクセントに叩きつけてくるスラッピング・ベースがいい調和の演奏だった。
それに時折、ギターを弾きながらの阿部 寛の口笛での演奏がまた何とも言えなくいい。唇を丸くして音を出す口笛でなく、歯の間から空気を流して鳴らす口笛だから(多分)、最初はどこで音がしているか分からなかった。(Sentimental Journey)

演奏が終わって楽屋へ顔を出し、CDがあることを聞き、早速その場で買い求めた。
『Fascinating Swing Jazz Milky Way Concert ‘06』
これはコンサートでのライブ録音だが、音も演奏もなかなかである。
「When You’re Smiling」などのミディアム・テンポの清水万紀夫の飄々としたクラリネットが、何だかうれしくなる。
小林真人の「Dinah」は私が組んだコンサートの時にも聴かせてもらったが、これぞスラッピング・ベースの真骨頂、見事なもんだ。
そして阿部 寛の心に添ってくるくるギターもいいが、口笛がいい。ここでは「I Got Rhythm」もやっているが、何だかフレッド・アステアが出てきそうな雰囲気がする。口笛を吹いて歩きたくなった。
CDがライブと違うのは、テナーの名手田辺信男が加わっていること。思わずにやにやしたくなる、田辺信男の「Harlem Nocturne」もいいですよ。
清水万紀夫クラシック・ジャズ・クァルテット ライブ・イン船橋

そう、昔はこんな演奏を追っかけていた。いつの間にかこんな演奏はなくなっていた。そんな想いがうれしくて清水万紀夫に電話をして、もう1枚「ニューオリンズ」というCDがあるとライナーノーツを読んで知り、聞いてみた。
制作枚数も少なく店頭はもちろん、手元にもないとのこと。残念だがあちこち気長に探すことにしよう。
だが前述の『Fascinating Swing Jazz Milky Way Concert ‘06=清水万紀夫クラシック・ジャズ・クァルテット ライヴ・イン・船橋』はまだ若干あるという。
いわゆるのんびり、気楽で素朴なジャズのお好きな方にお勧めしたい。ご希望の方はこちらへご一報いただければ、手配してあげます。
CD代金 ¥2,000-(送料別)
1 When You’re Smiling
2 Body And Soul
3 Blues My Naughty Sweetie Gives To Me
4 Georgia On My Mind
5 Back Home In Indiana
6 Sentimental Journey
7 Dinah
8 Tea For Two
9 Harlem Nocturne
10 Memories Of You
11 Oh, Lady Be Good!
12 I f I Had You
13 I Can’t Believe That You’re In Love With Me
14 I Surrender You
15 Tickle Toe
16 I Got Rhythm
17 When You Wish Upon A Star

どことなく時間が止まったようで、しみじみと様々を巡らせてくれて楽しいCDである。

| スイング・ジャズ | 17:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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スイッチ・ペッター

2010年、プロ野球日本シリーズへのパリーグからの進出は千葉ロッテに決まった。(10月19日)
野球は好きで時にはTVで、機会があれば球場にも足を運ぶ。この稿は野球がテーマではないが、私の中でにわかに音楽がらみで興味が湧いてきたことがある。

今年のプロ野球界の大きな話題の一つに、年間200本安打達成のバッターが3人出たことがある。
阪神タイガースのマット・マートン(214本)、ヤクルト・スワローズの青木宣親(209本)、それに前述の千葉ロッテの西岡 剛(206本)である。
特に興味を持ったのは西岡 剛。いや西岡 剛に興味を持ったというより、実は西岡 剛の左右打ちを、つまりはスイッチ・ヒッターを面白いと思ったのである。

ひと月ちょっと前に、ビッグ・バンドの「鈴木正男 & SWING TIMES」のライブに南青山「MANDALA」へ行った。
通路脇の鏡張りの壁に寄りかかって私は聴いていた。トランペットのソロになって、一番右端の4番が立ち上がった。とはいえ私の位置からは柱が邪魔になって、4番のラッパだけが見えなかった。
4番はマッキー(牧原正洋)だな、と思いつつ背にした鏡を振り返った。相変わらずイケメンのマッキーが、鏡の左奥で立ち上がって吹いているのが見えた。
鏡の映像を振り返るのを止めて顔を戻そうとしてふと、何かヘンだな、と思った。が、すぐに何が変だか分からなかった。
牧原正洋

マッキーのソロが終わって座り、他の3人がトランペットを構えて初めて分かった。トランペットを持つ手が他の3人と逆だった。
普通は左手でトランペットを持ち、右手を右側から添えて右手の中3本の指(人差し指、中指、薬指)で3つのピストンを押さえて、唇の振動操作と連動させて様々な種類の音を出すのである。
ところがマッキーは、右手でトランペットを持ち、左手を左側から添え、ベル(広がっているラッパ口)へ向う管越しに左手中3本の指でピストンを操作していた。
鏡にはそのまま対面に映るので、トランペットを持つ右手が左側に、左手が右側に映るからすぐに分からなかったのである。
(えっ!?マッキー、左手で吹いている!?)

南青山「MANDALA」はステージの上手(右)奥、つまりトランペット・セクションの右手(4番トランペットの右)にステージへの出入り口がある。
その出入り口からマッキーの様子を見ようと、私は演奏中そっと行ってみた。なるほど、マッキーが、右手でトランペットを持ち、左手でピストンを操作して吹いている。見慣れていないから確かに妙だ。(写真)
そういえば、私には見えないから何故か分からなかったが、マッキーがソロをとるたびに他の3人のトランペッターが柱の陰のマッキーを見上げて笑っていた。トランペット・セクション以外のメンバーは、一番後ろの端だけに演奏しているところが見えるわけでもないから、まったく気が付いていなかった。
後でリーダーの鈴木正男に聞くと、彼は知っていたがふざけているのかと思ったと言っていた。
ちなみに終始正面から見て聴いていたお客さんも、多分気がついていなかったと思う。

休憩に入って早速マッキーを捕まえて聞いてみた。
驚いた。ふざけるどころか、1ヶ月ほど前(7月)から疲労性の障害で右腕が上がらず、まったく力が入らない状態が続いているという。
かといって仕事を休むわけにはいかないから、なるべく右腕に負担をかけないようにしながら、左手(指)でのピストン操作を練習したのだそうだ。
その練習も、60くらいのゆっくりのテムポ(1分間に四分音符60個)で丁寧にスケールを繰返す、まったくの初心者と同じようなことから根気強くやったという。
その結果、右手で楽器を支え今のように吹けるようになったのだという。さすがに一流のプロである━と、そのときはいたく感心しただけで終わった。
Tp セクション

それからしばらくそのことを忘れていた。
そう、プロ野球のCS(クライマックス・シリーズ)が始まり、福岡ソフト・バンクと千葉ロッテの試合で、前述のスイッチ・ヒッター西岡 剛の活躍を見て想い出したのである。
右投げのピッチャーの時は左打席で打ち、左投げピッチャーには右打席で打ち成果を出す。
これは右打者が左打席のバッティングを練習し、単に技術を習得すればいいという問題ではないと思う。アマチュアならそれで十分な成果は得られるだろう。が相手のピッチャーもプロである。技術もさることながらその頭の中、思考・発想からして違うのではないだろうか。
つまり単に右投げのピッチャーだから左打ちが、左投げだから右打ちが有利というだけでなく、右打ち時の思考・発想と左打ち時の思考・発想がそれぞれあって、両方できる幅の広さというか深さが、ピッチャーを翻弄しヒットの可能性を高めるのではないだろうか、と西岡のバッティングを見ながら面白がって考えてみたりしていた。

その時、ふとマッキーのことを想い出した。
そうか、マッキーも右手を故障したから、左手でピストン操作を練習してできるようになった、ということだけではないのではないだろうか。
頭の中で描いた(考えた)メロディーを唇と舌と、指とを連動させて音の流れ(動き)を実現していくわけだが‥右手と左手の違いは脳の使い方、思考と発想からしてすでに違うのではないだろうか。
だから奏でられるメロディー(音楽)も違うように思う。あのライブの時にはあまり気が付かなかったが、そんな違いもあってあの時ちょっとヘンだなと思ったのかもしれない。

ということは、マッキーは右と左で二人分の個性での演奏(?)のできるトランペッターということだろうか。そんな話は聞いた事も無いが━野球ならスイッチ・ヒッターだが、この場合はいわばスイッチ・(トラン)ペッターとでも言おうか。
それにしてもサウスポー用のトランペットなんて、ないんだろうか。

先日、マッキーと電話で話をした。リハーサルの休憩時間での話だったから、詳しいことまでは聞けなかったが、まだまだ右腕の状態は変わっていないという。
今度会った時に、左右の手の違いと音楽の違いについてじっくり聞いてみたいと思う。
いずれにしても、焦らずにじっくりと、とにかく完治させて欲しいと願うばかりである。しかし今は今で、サウスポーの音楽を楽しませて欲しいとも思う。

マッキーこと、牧原正洋のHPはこちら
また、「鈴木正男 & SWING TIMES」南青山「MANDALA」での次の定期ライブは、10月27日(水)である。

| スイング・ジャズ | 19:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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