浦メシ屋奇談

近頃じっくり腰を据えて居続けられるところはないか、と探すようになった。メシ屋だか呑み屋だか、この裏に節操なく何でも出てくる店を見つけた。地に足の付かない、あれこれ。浦メ シ屋~っ!

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談志が死んだ。

15~6年前まで、私は立川談志の噺があまり好きではなかった。

六つか七つの頃から大人に混じってラジオで落語を聞いていて‥桂三木助(三代目)、三遊亭金馬(三代目)、三遊亭円歌(二代目)、三笑亭可楽(八代目)、春風亭柳橋(六代目)、春風亭柳好(三代目)、古今亭今輔(五代目)、桂文楽(八代目)、古今亭志ん生(五代目)、三遊亭円生(六代目)、柳家小さん(五代目)、柳亭痴楽(四代目)など、ラジオに噛り付いて聞いていた。
NHK以外の放送は、田舎のことでシャーシャー言うラジオでやっと聞いていたのを思い出す。

私が立川談志を知ったのはそんな頃からさらに5~6年経ってから、真打に昇進(1963年)してからで、良く知るようになったのは日本テレビの「笑点」の司会をするようになってからだ。(1963年)
先日NHKを観ていると、あの「笑点」の司会も初代となっているが、本当は番組企画を考えた時、三遊亭円楽(六代目)を立てていたらしい。
ところがいざ開けてみたら下手糞でどうにもこうにもならないんで(さもありなん)、しょうがなく談志自身でやることになったと言うことで、正式には二代目だと自ら言っていた。

談志の何を最初に聞いたか憶えていないが、何だか小うるさい落語だな、と感じたのを憶えている。
それに握った左手の突き出た第二間接を左ひざに立てて座っている仕草や、右手の人差し指と親指だけを立てて動かす仕草と同時に首を前に突き出し口を曲げる仕草。
さらに上下の顎を少しずらして口を開き、「あー、あー!」と相槌を打ったり頷いたりする仕草‥
当初、私はこれらが気になって気になって仕方がなく、噺を聞いていられなかった。

そのうちに「落語は人間の業の肯定だ」と言う落語論を聞くにいたっては、落語はとてつもなく大変なものなのだ、と首を引っ込めそうになった。
どこかの誰かじゃないが「たかが落語でげしょ!」と、懐手に鼻歌で科を作って通り過ぎようかと思ったものだ。

大好きとはいえ、大体落語をそんな視点で眺めたことも考えたこともなかった。
三木助の「芝浜」や「へっつい幽霊」、金馬の「居酒屋」や「薮入り」、可楽の「らくだ」や「うどんや」「二番煎じ」、あるいは柳好の「野ざらし」や「青菜」、さらに文楽の「明烏」や「船徳」等々など‥ただただうまいなぁ!面白い!と喜んでいただけなのだ。(もちろん、それで良い筈だが‥)

が、演じる側は時代背景だの生活習慣だのを考え、人情だの非情だの、常識を逆手に取った残酷さなど、誰もが持っているであろう人間の裏までをあっさりと曝け出して、その手際の良さで笑わせる、工夫をしているのである。
浅はかにも初めてそんなことを考えてみて、そうかだから落語は面白いのだ、離れられないのだとおもうと同時に、やはり落語は大変なものだと改めて思ったものだ。

そんな時、談志自身が弟子に「野ざらし」の稽古をつけているCDを聴いた(「談志の世界」。
これは面白かった。普通なら、師匠が弟子に稽古をつけているところなどに立ち会えるわけがないのだが、これはいろいろな意味で噺家でもない我々のためにもなった。
このCDを聴いて、多少大げさに言えば、落語が自分の人生に如何に役立っているかと言うことに気が付いたのである。

何でも無いような一言でも、キーになる言葉と言うのがある。
「野ざらし」の中の━
夕べとなりの隠居のところへ訊ねてきていた女が、実はこの世のものではなかったと八っつぁんが知るところで━「あんないい女ならおば(お化け)でも、ゆうた(幽霊)でも━」と言う。
このくだりを調子よくつらつらとやっておいて、突然「こう言う言葉は残しておけよ!」とポンと言っておいて、サッサと次へ行ってしまった。
これは、その前にも熟語(忘れられていく言葉)に対する配慮をしなさい、と言っているが、いかにもこう言う表現は落語のセンスとして残していくべきだ、と言っているような気がした。
ちなみに柳好(三代目)はここは「ゆうてき」と言っている。

それから「野ざらし」の聞かせ場の一つに、釣りをしていた隠居がまったく釣れないので帰ろうと糸・竿を仕舞っていると、金龍山浅草寺で打ち出だす暮れ六つの鐘(柳好だと、多門寺入会の鐘)が陰に籠もって物凄くボーンと鳴ったなぁ━
「四方の山々雪溶けかけて、水かさ増さる大川の、上潮南に岸を洗う水の音がザブーリ、ザブリ‥」とのやはり名調子のくだりがあるが、ここで談志は━
「これ、春と夏が一緒んなっていて可笑しいんだ。可笑しいんだけど昔からこうやってるんだからこれはこれでいい、と言うんならこのままやればいいし、可笑しいと思えばやめればいい。」
つまり自分の噺として、どんなことでも自分の中でちゃんと筋を通してやれ、と言うことらしい。
なるほど、師匠の噺を口移しで教わり、そのまんまをやるとは思わないが、例えちょっとした一言でも諸々を考えた上でしゃべると、噺の奥行きや味わいが違ってくるのに違いない。面白いものだと思った。

この人はやっぱり凄い人なんだろうなと思い始めたのは、十数年前になるか「鉄拐」を聞いたときだと思う。
断っておくが、私が聞いた「鉄拐」は名演と評判の高座(2007年)のものではなく、もっと前のものである。
その時、こんな地味な噺をじっくりとやる談志と言う噺家はなんなんだろう、と思ったものだ。
もっと面白い得意な噺がいっぱいあるんだからそれをやればいいのに、ここに立ち会った客はついてないナ、などと思いながらいつの間にか引き込まれていったのを憶えている。
その時は、以前気なって仕方がなかった仕草のあれこれがまったく気にならなかった。というより、そんな仕草をしていたのかどうかも憶えていない。

落語は面白いことを言うから面白いのではなく、その噺家のセンスが面白いのである。
志ん生がやったくすぐりを志ん朝がやっても、さほど可笑しくなかったことがある。親子とはいえ、志ん生にはあっても志ん朝にはそのくすぐりのセンスが無かったのだと思う。
落語はそのそれぞれのセンスで噺を、言葉を裁く手際の良さが可笑しいのだろう、とその時の談志の「鉄拐」を聞いていて思ったものだ。

そういえば、前述のCDの「談志の世界」の中に、池袋演芸場での漫談が入っている。
その中に━
「昨日、3時間も『芝浜』をやったら、声がこんなんなっちゃった。喉が弱くて━医者に言わせると20パーセントぐらい喉頭がんになる可能性を持っている、と言われた━」と言っている。
この頃から喉はあまり良くなかったのだろうか。入院するのはそれからまだズーッと後のことだが━

古今亭志ん朝が亡くなった時は、あのとんとんとんとん、と調子で話す噺が年をとったらどうなるのか確かめられなくなったのが残念だったが、仕方がないと諦めた。
立川談志がいなくなった今は、ただただ、もっともっと聞いておけば良かった、と日が経つにつれて残念に思うこと仕切りである。

それと浪曲や漫談などのお笑いと寄席芸、いやお笑いに限らずフレッド・アステアなど海の向こうの芸やジャズなどの博識さと分析の面白さ‥やはり持ってっちゃったんだろうね、向こうへ。ああ、もったいない‥。

※敬愛の念を込めて、敢えて敬称は略させていただいています。

| 雑感 | 09:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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Swingin'の力

「What A Wonderful World」
いささか大げさに言えば、客席とステージがまさに一つになった、和気あいあいとしたいいライブだった。

『Swingin’ (2nd)』ライブ(2011年12月6日)。
半年前の一回目にも意図したことだが、会場(東京メインダイニング)が渋谷の繁華街の1階にあるだけにジャズ・ファンに限らず、いわゆる音楽好きな特に女性客に期待し、新しいジャズ・シーンを描いて全体の構成を考えた。
大体ジャズ・ライブと言うと狭い階段を上がるか、地下に下りるかの小さなスペースで肩を寄せ合って聴くというのが大方だった。
その点、ここ東京メインダイニングでのライブはゆったりとしていて明るく、ステージの作りなどもちょっとしたシアター・レストランとでも呼びたくなるような雰囲気である。
Swingin' Quartet

新しいジャズ・シーンというほどではないが、普通の音楽好きの人が普通に楽しめるジャズ・ライブにならないだろうかとかねがね思っていたものだから、この2回のライブは会場のロケーションも含めていい挑戦だった。
どうしてもジャズというとかつてのモダン・ジャズや、さらに過激なフリー・ジャズなどを思い描くらしく、どうしても構えてしまう人が多く、マニアックな音楽としてなかなか近づいてくれなかった。
どうやら小うるさい音楽と誤解されていたらしい。
鈴木直樹

スイング・ジャズというのはいわばアメリカの歌謡曲のようなもので、流行り歌でも映画音楽でも、あるいはミュージカルでも童謡でも、オリジナルの曲の良さを損なうことなくスイング(スタイル)して楽しむ━いわゆるクールなのである。
それをジャズに馴染みのない人たちにも体感してもらおうというのがこのライブの狙いであり、その手ごたえを得ることができたということである。

演奏も次から次へと一方的にやるのではなく、分かりやすいテーマを立ててそのテーマの下にかつて聴いたことのある、知っているナンバーを中心に展開する━
今回は師走でもあり、いろいろあったこの一年を少しでも穏やかに締めくくりたいという願いを込めてテーマを「この素晴らしき世界(What A Wonderful World)」として、世界の国々のお馴染みのナンバーを探りながらスイングしてみた。
宅間善之

前以てのチラシにもそんなナンバーをプログラムの一部として紹介し、お客さんにも大体の様子が想像できるようにしておいた。
そんな準備が効いたのかどうかは分からないが、演奏が始まった時から緩やかな空気が客席から伝わってきて、とてもいい気分になれたのである。

その上にリーダーの鈴木直樹(Cla)のMCが卑近で、ちょっとしゃべり過ぎのきらいはあったが良かった。
終始笑いが起こり、楽しいジャズ・ライブになった。
メンバーは前回(6月)同様前述の鈴木直樹に、バンジョーの青木 研、ビブラホーンの宅間善之、それに今回はベースにポップスにも明るいベテランの田野重松というカルテットである。

そして今回は冒頭のようなことから、あまりジャズに慣れていない女性たちのために、どうしても聴いてほしいナンバーを選んで臨んだ。
まずは「Memories Of You」(あなたの思い出)。
これはもう、ベニー・グッドマンの十八番のナンバーとしてお馴染み。映画「ベニー・グッドマン物語」の中では、ベニー・グッドマン(スティーヴ・アレン)がカーネギー・ホールのステージでこの「Memories Of You」の演奏を始めると、客席にいた恋人(ドナ・リード)が「今、彼はプロポーズしている…」と言う名場面があるが…けだし名曲である。
またもいささか大げさに言えば、私は高校生時代ベニー・グッドマンのこの曲で恋のときめきとともに、いても立ってもいられない切なさを教えてもらったように思う。
鈴木直樹のクラリネットは透明感を帯びて優しくなってきた。だからこういう曲をやると、このまま終わらないでほしい‥という思いとともに聴き入ることが多い。
このときの宅間善之のビブラホーンは、いわゆるスイング調でないところがまたよかった。

そして「Dark Eyes」(黒い瞳)。
ルイ・アームストロングのトランペットと名唱で知られる、お馴染みのロシア民謡である。
鈴木直樹のカーブド・ソプラノ・サックスはこの曲の持っている哀愁を存分に引き出し味わい深く、昔から私は好きでよく聴いていた。
この手の編成のコンボは曲想を大事に出してくるから、とくにバンジョーは難しいと思う。
前述の「Memories Of You」のような情感たっぷりのような曲があったかと思うと、この「Dark Eyes」のようにテンポもスイング感もあるが、一方民謡としての愁いもある。
そんな絶妙な味わいを青木 研のバンジョーは的確に出してくる。曲によって表情が違うのである。これはテクニックはもちろんだが、そのテクニックを超えたその曲に対する確かな想いがあるのだと思う。まさしく彼は、若くしてバンジョーの山、天下の研、である。
青木 研

そんな思いをつくづくさせられたのが、「アルハンブラーの思い出」である。
ギターでも高度なトレモロ奏法の技術が必要な難曲である。それをバンジョーで弾くなど‥考えられない。が、またこのバンジョー一本での「アルハンブラーの思い出」が心を打つ。
ここにも超高度なテクニックとともに、曲に対する計り知れない想いがあるのだろうと思う。
いつかその、青木 研の音楽に対する思いをじっくりと聞いてみたいと思う。
それはさておき、この青木 研の「アルハンブラーの思い出」も是非聴いてほしい一曲だったのである。

そしてもう一曲、「Danny Boy」(ダニーボーイ)。
これこそ誰もが良く知るお馴染みのナンバーといえよう。古くはハリー・ベラホンテのカーネギー・ホールでの名唱、演奏ではサム・テイラーやシル・オースチンのテナーでお馴染みだが、鈴木直樹のカーブド・ソプラノ・サックスでの「Danny Boy」も実に優しくていい。
またここでも宅間善之のビブラホーンに合わせる青木 研のバンジョーがやるせなくいい。

このライブに来てくれていた女性の方が━
「ジャズって恋の音楽なんですね。
聴いてるうちに、20代の頃の好きな人のことで喜んだり苦しんだり、切なくなったりしたことを想い出して、懐かしくなったのと同時に何だかうれしくなりました‥」
「大雨の中、かけつけましたが、とっても楽しいライブでした!
どの曲も、楽しくて、暖かくて、優しくて、ずっと、体がスイングしていました。
帰りには、雨も上がり、足取り軽く帰宅しました。三回目も楽しみにしています」
田野重松

うれしいことです。
こんな感想がどんどん聞かれるようになり、もっともっとあちこちで演奏できるようになるといいのですが━
さあ、三回目の企画でも立てようか━

『Swingin’ (2nd)』
1set
1) When You’re Smiling
2) Memories Of You
3) Dark Eyes
4) アルハンブラの思い出
5) Fly Me To The Moon
6) 月の砂漠
2set
1) Back Home Again In Indiana
2) Tennessee Waltz
3) Theme Of Vagabond(蒲田行進曲)
4) 鈴懸の径
5) As Time Goes By
6) That’s A Plenty
7) Danny Boy
8) When The Saints Go Marching In
9) 見上げてごらん夜の星を

クラリネット(カーブド・ソプラノ・サックス)鈴木直樹
バンジョー 青木 研
ビブラホーン 宅間義之
バース 田野重松

※敬称は略させていただいています。

| ライブ | 17:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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堀越 彰の音楽圧、「カルチェ・ラタン」。

半年前の6月のある日、演奏旅行での立ち寄り先バース(オーストラリア)から、ドラマーの堀越 彰からメールが入った。
そこには彼の昨年末の『狂詩曲 rhapsody』(「衝撃のコンサート」)につづいての11月博品館公演『Quartier Latin』(カルチェ・ラタン)の、冒頭シーンのコンテ(設定・展開プラン)がビッシリと書いてあった。

前提の説明など何もなく、いきなりパリのカルチェラタンの片隅の酒場でのシーンの描写である。が、私は何の戸惑いもなく、彼のコンテに添ってそのドラマチックな世界に突入していった。
昔居た広告の世界の虫が動き出し、読みながら思わずカット割り(映像化する時のカメラの動きと、画面構成)をしていた。
しかしこれは私の昔の仕事柄、こういう形でのめりこんでいったわけではない。

11月9日、『Quartier Latin』公演の当日、私は前以て誘った、たまたま女性ばかりの友人8人と、博品館で落ち合った。
私は彼女らを誘うのにチラシを見せ、面白いから観にいってご覧!としか言わなかった。というより、そうとしか言いようがなかった。
冒頭シーンのコンテを垣間見せてはもらったが、それがどういう構成の元にどうステージにされるのか知る由もなく、また昨年公演の「狂詩曲 rhapsody」の説明をしながら堀越 彰の世界を説いても、私のコトバでは陳腐になりそうでとても彼の表現しようとした域にまでは届きそうにない。
だからチラシを見せて黙っていると、全員が行きたい!と即返してきた。
Qualtier Latin

ラテンとヨーロッパが交錯するパリ、カルチェ・ラタンの片隅。
薄暗い酒場、喧騒の中でシャンソンを爪弾くギターリスト。
やがてそのギターはあたかも暗闇の中で目覚めた怪物か何かのように激しくなり、椅子代わりの箱を打ち鳴らすパーカッショニストとともに、もう一人のギターリストを呼び込み怒涛のような合奏となる‥

冒頭のメールの件同様、堀越 彰という男はあまり前以てくどくどと説明することを好まないのだろう。
いきなり我々の予測し得ない世界へ引きずり込んでいく。かなり暴力的にである。
しかし暴力的とはいえ、引きずり込まれた我々はすぐに納得させられるから並ではない。
納得させられるどころか、その先を恐々ながら探ってみたくなる冒険心を煽りながら次から次へと展開してくるから、昨年同様まったく休憩なしの1時間半が瞬く間に終わってしまった。

初めて堀越 彰の世界を体験した、私の知り合いの女性たちも芝居仕立てのトップシーンで度肝を抜かれたことだろう。
実は私は彼女たちを誘うのに、コンサートとは一言も言わなかったのである。

ステージ上に配されたミュージシャンが開演と同時に演奏し、MCが入って演奏が繰り返される。そして休憩が入り、2部が始まりやがてフィナーレになる━そういういわゆるコンサートとは一線を画すために、あえてコンサートとは言わなかったのである。
つまりいわゆる従来のコンサートという概念にはおよそ入らないと思ったからである。
かといってどういう概念の範疇のものであるかは、私の乏しい知識では思い当たるものがなかった。
というより、昨年の公演で「そうか、音楽もこういう表現方法があるのか!」と教えてもらったのである。

前述の女性たちも、コンサートとは言われていないまでにもいわゆるコンサート(音楽会)だと思い込んでいて、当然いつものコンサートの段取りでことは運ぶであろうと待ち構えていたはずである。
ところがさにあらず、いきなり芝居仕立てでステージは開いた。
そして次々とドラマチックに繰り広げられるラテンのリズムと歌、そして官能的な踊り(フラメンコ)。
初っ端の驚愕は即興味へと変わり、次にどんな音楽体験をさせてくれるのかと好奇心を呼び起こし、いつの間にかドキドキしながら前のめりになって堀越 彰の世界を探検していた。
そう、これはまさに探検である。異様ともいえるほどの高密度な空気の中を、我々は息を呑む思いを繰り返しながら次の演奏は、次の踊りはといつの間にか首を前に突き出すようにして進んでいった。

そんな高密度な空気を創り上げているのが、6人のプレイヤーである。
AMI鎌田厚子(Baile フラメンコ・ダンス)、堀越 彰(ドラムス、パーカッション)、石塚孝光(Cante フラメンコ歌手)、片桐勝彦(ギター)、林 正樹(ピアノ)、白土庸介(ギター、ベース)。

今書いていて気が付いたのだが‥普通コンサートと言うのは演奏する側がいて、聴く側がいる‥つまり我々聴く側は、演奏する側、つまりプレイヤーの演奏を待って味わい楽しむものである。
ところがこの『Quartier Latin』にしても、昨年の『狂詩曲 rhapsody』にしても、我々は聴く側にいる意識とは違う何かがある。
ちょっとオーバーに言えば、音楽が、踊りがステージから放たれた瞬間に我々聴(観)衆は共有してしまう━空中に放たれて、我々の眼に耳に届くまでの僅かな時間とはいえ多少なりとも減衰したものを鑑賞するのではなく、プレイヤーが発する音楽圧そのものを受けとっているのであろうと思う。
だからプレイヤーが発揮する探究心や創造力、情熱、さらには彼らが張り巡らせている緊張感までをもそのまま受け取り、プレイヤーと一緒に音楽をやっているのである。
そうだ、そんな感覚が探検であり、受け身で聴くだけではない前のめりになって、コンサートに参加している感覚なのであろう。
これは彼らだからこその、独特の音楽圧を備えたミュージシャンのなせる業といえよう。

改めて思う。音楽もこういう表現方法があるのだ、と━
しかしこれは技法の問題ではなく、音楽そのものに、コンサートそのものに対してしっかりとしたコンセプトを持っているかということになるのだろう。
そのコンセプトに沿ってどうあるべきか、あるいはどうやろうかと考え、組み立てるのだと思う。

いずれにしても音楽の可能性と面白さを改めて思う。
これからの堀越 彰の世界が、大いに楽しみである。

※敬称は略させていただいています。

●『Swingin’ (2nd)~この素晴らしき世界 in 渋谷』(浦山隆男プロデュース)
期 日:12月6日(火) 
open 18:30(ビュッフェスタイル食事スタート)
start 19:30 (2回、入れ替え無し)
場 所:渋谷シダックスビレッジ1F 東京メインダイニング(03-5428-5031)
チャージ:\5,500(Mチャージ+ビュッフェスタイル食事+1ドリンク)
予 約:東京メインダイニング tel.03-5428-5031
    Swing Ace tel 03-6768-8772 fax 03-6768-8773 e-mail ticket@swingace.com
    Wonder Jazzland e-mail wonder@jazzland.jp

●『鈴木直樹(cla) + 大橋高志(pf)デュオ』(浦山隆男プロデュース)
期 日:11月29日(火)
    open 19:00 start 19:30~ 2回(入れ替えなし)
場 所:西荻窪「ミントンハウス
予 約:ミントンハウス03-5370-4050
チャージ:\2,500(飲食別)

| 雑感 | 11:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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花岡詠二、秋のスヰング・ウィーク!

3年前から、10月の10日近辺の1週間は、「花岡詠二、秋のスヰング・ウィーク」とでも呼びたい心持だ。

毎年10月の頭にある「神戸ジャズストリート」に参加したオランダ「ブレダ・ジャズ・フェスティヴァル」のメンバーを引き連れての「ホット・ジャズ・ビア・パーティ」と、「花岡詠二インターナショナル・スヰング・オーケストラ・コンサート」がぶっ続けである。
「ホット・ジャズ・ビア・パーティ」は今年で17回目(10月10日)で、「インターナショナル・スヰング・オーケストラ」(10月12日)は3回目である。
花岡詠二

この二つの続けての催しを外せないと思うのは、最近ほとんど体感できないジャズの、スイングの面白味に溢れていることである。
「ホット・ジャズ・ビア・パーティ」はtp、t.sax、cla、pf、gui、b、drmの7人編成(いいなぁ、理想的だなぁ!)で、ほぼジャム・セッション状態。客席と一体となって楽しめる。
最近こういう聴き方をほとんどしていないから、楽しさこの上も無い。
それに花岡詠二だからこその、この手の楽しみ方を心得た、今までほとんど掻けずにいた痒いところを何気なく心行くまで掻いてもらった感激がある。
(ああ、そこそこ‥そうそう‥いやぁ、気持ちいい!)
昨年はこのパーティの後の、オーケストラ・コンサートでやっていたが、アーティ・ショーのグラマシー5ばりの「Smoke Gets In Your Eyes」(煙が目にしみる)は良かったなぁ‥いやぁ、佐久間 和のギターには泣けた。
(とはいえこのパーティだけに関わって泣いてばかりはいられない。2日後のオーケストラにも触れなくては━)

10月12日(水)、亀戸はカメリアホール。「花岡詠二 インターナショナル・スヰング・オーケストラ・コンサート」。
編成はtp3、tb3、sax4に、4rhythms。いわゆる3344にclaが加わり、15人編成である。
オープニングは「Don’t Be That Way」(その手はないよ)。
このコンサートは第1回目から、各楽器ごとのマイクを使わない。ステージの最前にソロ用のマイクがあるだけで、我々はほとんどナマ音で演奏を聴く。
今は慣れたが、3年前初めて聴いたときはPA(Public Address System、音響システム)で補強され調整されたサウンドに慣れた耳には、そうか本来はこういうものかと新鮮に感じるとともに驚いたものである。
アンサンブルが自然で美しい。花岡詠二の話によると、2階の最前列で聴くのが最高だという。
アントワーヌ・トロメレンマロ・マズリエパオロ・アルデリギー

とくに1部での注目は、若きヴァイブラニスト武田 将が加わり、ベニー・グッドマン・セクステットを思わせる「Liza」、「Sweet Sue Just You」、「Stardust」の3曲。
武田 将はこの3年ほど花岡詠二グループに加わり演奏している。私もヴァイブラホーンが好きで、誰かいい人いませんかと聞くと彼をあげていた。
今までに2回ほど聴いたが、確かにライオネル・ハンプトンやレッド・ノーヴォを思わせるプレイが実に興味深い。

この日もあの名盤の「Stardust」を、ハンプトンそのままにやった。よくハンプトンのフレーズを研究している。思わずニヤリとしてしまったほどだ。
この調子だとベース・ソロも小林真人はスラム・スチュアートばりに弓と声のユニゾンでやるんだろうか、とあらぬ期待を抱きながら聴いてしまった。(実際にはそんな芸人みたいなことはなかったが━)
「Liza」も「Sweet Sue Just You」も実に良かった。これからが大いに楽しみなヴァイブラホーンである。

第2部は「St. Louis Blues March」(セントルイス・ブルース・マーチ)、「A String Of Pearls」(真珠の首飾り)、「When You Wish Upon A Star」(星に願いを)とグレン・ミラーを3曲続けた。花岡詠二にしては珍しいことである。
ベイシーでお馴染みの「Cute」(キュート)は名手ブルックス・テグラー(ds)のブラッシュ・ワークに胸をときめかせ、本来なら歌い手を仕立ててやるべき「Tennessee Waltz」(テネシー・ワルツ)をクラリネットとギターでこれもやはり泣かせる。
ギンギンに力の入ったコンサートのどうだ!という演奏ももちろん聴き応えがあっていい。しかしついでのようにライブでやるかのように何気なくやるこういう曲は、酸いも甘いも噛み分ける名手がやるだけにもっといい。
しかし、こういう楽しませ方は花岡詠二でないとできないだろう。我々ファンの心境をよく心得、楽しみ方、面白がり方を良く知っている。

彼も言っている。
「自分の好きなものしかやらない。自分がいいと思うものは絶対にいいと思ってくれる!と(自分自身)思っちゃう」と━
我々ファンから言わせても、その通りなのだ。やってる彼らが楽しんでいないものがいいわけがない。
それに演奏している彼らが楽しんでいるのを観て聴いて、ジャズのさらなる楽しみ方を覚え、面白がるコツを我々は会得するわけである。
ただこれも誰でもというわけには確かにいかない。演奏家としてだけではなく、ファンとして存分に時間をかけ楽しみ面白がってきたからこそのワザだろう。
決して一方的にはならない、ファンとしての、さらには演奏家としての実績とそれに伴う我々との信頼関係があるといえよう。
花岡詠二でしかできないだろう、というのはそういうことなのである。
佐久間 和小林真人ブルックス・テグラー

そういう面白味がもう二つあった。
「The Old Piano Roll Blues」(壊れたピアノのラグタイム)の演奏と、「China Boy」(チャイナ・ボーイ)のジャム・セッションである。
「The Old Piano Roll Blues」はどこかで聴いたことがある。タイトルも聞いたことがあるような気がする。誰かの歌を聴いたような気がする。調べてみよう。
なかなか面白い曲だ。こういう発見があるのが、このコンサートの楽しみである。

それに「China Boy」は、最近ほとんど聴かれえなくなったジャム・セッションだけに大いに楽しめた。
昔は皆よくやっていた。約束事(ヘッドアレンジ)を決めずに、入れ替わり立ち代りソロをとり腕を競い合う。そんな昔のジャズシーンが一瞬甦った。

あっという間の2ステージだった。
それにしても、プロとはいえ達者なプレイヤーが揃ったものだ。とくに外人部隊はブルックス・テグラー(アメリカ)を筆頭にトランペットのマロ・マズリエ(フランス)はまだ20歳だという。
ピアノのパオロ・アルデリッキー(イタリア)もまだ二十歳そこそこで大したものだと思う。長く付き合って、行く末を楽しみに観て聴いてみたいものだ

この秋の大いなる楽しみ、「花岡詠二、スヰング・ウイーク」が終わった。
いろいろ楽しませてもらい、勉強させてもらった。
今年聴き逃した方は、是非来年に━来年は10月10日が「インターナショナル・スヰング・オーケストラ・コンサート」だそうだ。

これで我々スイング・ファンはぼちぼちと冬支度に入る。
あったかい雰囲気の中で、旨いものと旨いサケを味わいながら、間近にミュージシャンを感じながらじっくりと楽しむのである。
そろそろコートとマフラーと‥そうだ、アスコット・タイを出しておこう‥

※敬称は略させていただいています。
※写真はすべて「ホット・ジャズ・ビア・パーティ」のものです。


●『Swingin’ (2nd)~この素晴らしき世界 in 渋谷』(浦山隆男プロデュース)
期 日:12月6日(火) 
open 18:30(ビュッフェスタイル食事スタート)
start 19:30 (2回、入れ替え無し)
場 所:渋谷シダックスビレッジ1F 東京メインダイニング(03-5428-5031)
チャージ:\5,500(Mチャージ+ビュッフェスタイル食事+1ドリンク)
予 約:東京メインダイニング tel.03-5428-5031
    Swing Ace tel 03-6768-8772 fax 03-6768-8773 e-mail ticket@swingace.com
    Wonder Jazzland e-mail wonder@jazzland.jp

●『鈴木直樹(cla) + 大橋高志(pf)デュオ』(浦山隆男プロデュース)
期 日:11月29日(火)
    open 19:00 start 19:30~ 2回(入れ替えなし)
場 所:西荻窪「ミントンハウス
予 約:ミントンハウス03-5370-4050
チャージ:\2,500(飲食別)

| スイング・ジャズ | 00:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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Swingin' 再び━

クラリネットの鈴木直樹を中心に、東日本大震災へのチャリティーも兼ねて「Swingin’」なるライブをやった。(6月24日。「渋谷でSwingin’! さながらサロン・ジャズ」)
メンバー、演奏内容、さらに初めての会場渋谷の「東京メイン・ダイニング」でのライブだったが大変評判がよく、次回はいつか?の問い合わせを度々いただいていたので、気をよくして2回目を催すことにした。
12月6日(火)『Swingin’ (2nd) ~この素晴らしき世界 in 渋谷』

メンバーは前回とほぼ同じ。
クラリネット&カーブド・ソプラノ・サックス鈴木直樹、ヴァイブラホン宅間善之、バンジョー青木 研、ベースがジャンボ小野からやはりベテランの田野重松へ。
20代の頃にはポップスの世界に身を投じ、その後ジャズに転向。ライブハウスはもちろん、TVやコンサートなどで活躍。2000年にはアメリカのカンサスシティの名誉市民として表彰されるなど、日本人離れしたビートで今回も若いメンバーをバックから支える。
Swingin' 2nd

今回はまだ浅いとはいえ師走(12月6日)。
もっとご家族やお友だちで気軽なパーティ気分を楽しんでもらおうと、軽い食事とのセットにした。
そしてプログラムも誰もが良く知る世界の民謡や、ポップス系のナンバーでのスタンダード・ナンバーを中心に、もちろんこれぞスイング!という選曲をして大いに楽しんでいただこうと思う。
また今回はお客さんからのリクエストもしやすいような工夫を加えて、一層スイングに親しめ楽しめるようにとあれこれ考えている。
リクエストをどうぞ!とお勧めしても、ジャズにスイングに精通しているマニアならいざしらず、何をリクエストしていいか検討もつかないし、また改めてリクエストするとなるとそこそこの度胸がいるものである。
かつて単なるファンだった頃の自分のことを思い浮かべてみて、気楽に聴きたいナンバーを自分のバンドに注文をつけるような、贅沢な気分で聴けるライブにしたいと思うのである。

それと前回のライブの中で鈴木直樹の、「ジャズというのはスタイルのことで、そのジャズのスタイルの中でどう演奏するかがプレイヤーにかかっているだけのことで、日本の民謡でもポップスでもジャズとして演奏できます。だからこれはジャズじゃないから演奏できません、ということはありません。」的な説明をお聞きになられて、相当にジャズをお聴きになられている方でさえ「そうなんだ!」と初めて合点がいったというシーンに出会った。
我々は当たり前のように思っていることでも、ファンとはいえほとんどの方が知っているとは限らない。いや、むしろ知らないと思った方がいいということを知った。
できればジャズの特徴を、面白さをそれとなく説きながら楽しんでもらうともっともっと楽しんでもらえることを実感した。
もちろん、それでもジャズのライブとして堪能できるかどうかは、企画・構成とプレイヤーの腕にかかっているのである。そう考えると、我々としても大いに張り切るとともに楽しみになってくる。

前回のチラシの中に、演奏例として童謡「月の砂漠」を書いておいたが実際には演奏しなかった。
ライブが終わった後、お客さんから「月の砂漠が、どんな風にジャズになるのか是非聴いてみたかった!」という声を聞いた。こんどは是非聴いていただくことにする。
そういうことのためにも、チラシに興味のありそうなナンバーをあれこれ載せておいて、リクエストの参考にしていただければと思う。
それにクリスマスの間近だから、クリスマスのナンバーも楽しんでいただきたい。

このライブ・コンサートは、お客さんと一緒に作り、楽しむライブにできればと思う。
そのつもりでご家族やお友だち連れで、家族食事をしながら気楽に楽しんでいただきたいと心から願っている。
期 日:12月6日(火) 
open 18:30(ビュッフェスタイル食事スタート)
start 19:30 (2回、入れ替え無し)
場 所:渋谷シダックスビレッジ1F 東京メインダイニング(03-5428-5031)
チャージ:\5,500(Mチャージ+ビュッフェスタイル食事+1ドリンク)
予 約:東京メインダイニング tel.03-5428-5031
    Swing Ace tel 03-6768-8772 fax 03-6768-8773 e-mail ticket@swingace.com
    Wonder Jazzland e-mail wonder@jazzland.jp

大橋高志(pf)
また、この「Swingin’」の1週間前の11月29日(火)には、やはり私のプロデュースで、西荻のライブハウス「ミントンハウス」で、トラッドなストライド奏法の名人ピアニスト・大橋高志(写真)と鈴木直樹のクラリネット(カーブド・ソプラノ・サックス)のデュオのライブを予定している。
これも丁々発止と展開する二人の呼吸と妙技が見もの・聴きものである。
期 日:11月29日(火)
    open 19:00 start 19:30~ 2回(入れ替えなし)
場 所:西荻窪「ミントンハウス
予 約:ミントンハウス03-5370-4050
チャージ:\2,500(飲食別)

※敬称は略させていただいています。

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